「お友達の5段の人は、兄弟で打っていただけなのですね」と町会長。

「永井の家系は、渡辺家と違って碁を打つ家系なのだと思います。聞いてはいませんが、ご両親が有段者なのだと推定しています。特に、母親が碁を打つのが好きな場合、小学生でプロになった仲邑菫初段のように、小さいときから碁を打つようになるようです。」

「仲邑菫初段のお母さんは、碁を打つのですか」と町会長。

「アマチュアの5段くらいだそうです。仲邑菫初段は、3歳のときからお母さんと9路盤で碁を打っていたようです。」

「碁盤は、普通、19路ですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。実は、9路盤の競技もあって、プロでも9路盤で打つ人がいます。」

「囲碁のプロが9路盤で碁を打つということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「プロがやるくらいだから、9路盤でも勝つのは難しいということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。9路盤の戦略を書いた本が出ているくらいです。」

「仲邑菫初段のお母さんが9路盤で碁を教えたのは、何か理由があるのですか」と町会長。

「お母さんが元囲碁のインストラクターなので、明確な理由があるのだと思います。」

「明確な理由と言いますと?」

「狭い盤面なので、お互いの石が近くにあるため、激しい戦になってしまうのが避けられません。石を取られたくないので、死活を理解できるようになるのが早いのだと思います。」

「詰碁は死活の問題ですよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。囲碁のルールに従って、交互に打っていれば、絶対に取られないというパターンがあるのですが、そういうパターンになっている一群の石を生きていると言います。」

「しかし、生きていると思っている石が取られてしまうということがありますよね」と町会長。

「おっしゃる通りです。囲碁は、ルールはシンプルなのですが、技術が奥深くて直感的ではないため、実践では、そういうことが一般的ですね。9路盤でやれば、そういう体験が短時間で経験できるので、石の死活を考えるようになるのが早いのだと思います。」

「なるほど。そうなると、詰碁の練習をすることになるわけですか」と町会長。

「ウェブで詰碁について調べたことがありますが、詰碁は嫌いな人が多いようです。」

「やはり、詰碁が嫌いな人が多いのですか」と町会長。

「日本棋院の院生になった人のブログに、詰碁は初中級のものしかやったことがないと書いてあったので、びっくりしたことがあります。」

「院生になるくらいだから、詰碁は初中級のものしかやったことがなくても、強いということですね」と町会長。

「アマの7段くらいだと書いてありました。」

2020/6/15

※仲邑菫初段は、2022年10月に三段になり、史上最年少、13歳11か月、で女流棋聖タイトルを獲得しています。

<筆者の一言>
約束の27日の夜8時頃に『こんばんわ』と言いながら、丸善の卓球場入ると、梅澤さんの姿が見えなかった。以前、『この人は50代の東京都の代表です』と梅澤さんが言った方が、『梅澤は帰りました』と言った。『忘れられちゃったんだ』と言うと、50代の東京都の代表をしている方は、『お子さんのことで急用ができたようです』と付け加えた。

数年前から梅澤さんの記憶力が低下していることに気づいていたが、梅澤さんが気にしていないので、対策を教えることもなかった。梅澤さんが気にしていないのは、梅澤さんがスーパー東大系だからだ。東大系とかスーパー東大系は、僕と違って、常識派だ。自分の記憶力が低下していても、周りの人の記憶力がもっと低下していれば、気にしないのだ。

翌日の日曜日の昼頃丸善に電話をしたら、梅澤さんが出た。『忘れちゃったんですね』と言ってみたが、梅澤さんは何のことか分からないようだった。『全く覚えていないんだ』と思ったので、『27日に試合の約束だったので、卓球場に言ったら、「梅澤は急用で帰りました」と言われてしまいました』と状況を説明した。梅澤さんは、『ごめんなさい。突然急用ができて』と言った。『お嬢さんに問題が起こったのですか』と聞くと、『そうなんですよ』という返事が帰ってきた。

僕が、『梅澤さんが何歳で死ぬか予測はできないのですが、死ぬ原因は記憶力の低下です。しかし、記憶力の改善は可能です。長期記憶は小脳の軟膜の可動性の低下で起こり、短期記憶の低下は海馬の機能低下で起こります。長期記憶の改善は比較的簡単なのですが、Googleはその方法をアメリカ人にしか分からないように隠しています。海馬の機能低下は』と説明を始めると、梅澤さんは『お客さんが来てしまったので、その話は次の機会に』と言った。

『それじゃあ、次の試合はいつになりますか。梅澤さんが都合のいい日ならいつでも構いませんが』と言うと、梅澤さんはちょっと考えて『来月の3週目あたりかな』と言った。梅澤さんが確定的な日を言えなかったので、『お嬢さんの状態がひどいのだ』とは思ったが、『分かりました』と言って電話を切った。

<ムクドリ34>
プロの棋士と推定されるSDI-WORKSのサポートの係の人が翌朝には回答してくるので、僕もぼっとした頭で、『早速、ご回答頂き、ありがとうございます。

「詰碁の達人Ⅳ」は、とても良くできたソフトで、他の詰碁の本やソフトと比べると間違いが極端に少ないため、とても気に入っています。僕が間違いと思った問題にも、実際には正しい問題が多いのではとは思っているのですが、「詰碁の達人Ⅳ」は二度目の挑戦になるので、勇気を出して質問致しました。

「320問のヒントは一線に大ゲイマですね。もし白2をその一路下にツケてくれば、素直に白2の右に打って白取られです。オイオトシにもならず、白には生きるスペースがありません」とのことですが、白2をその一路下にツケたとき、黒3をその一路右に打ち、白4で黒3の一路下にワリコミ、黒5で一目ヌイたとき、白6を黒1の一路上に打てば、白は生きているのではないでしょうか』と書いて送ってしまった。

回答は、翌朝来ていた。
『渡辺様
想定図を添付しています。
白6には黒7とツイでオイオトシを避けておきます。
白8を利かされても黒9で問題ありません。
これでどこを打っても白の生きるスペースがありません』と書いてあった。

『アチャ、やっちゃった』と思った。11手目のシボリの筋を見落としていたのだ。<続く>

2023/5/29